URL |
https://mokkanko.nabunken.go.jp/ja/MK028026000001 |
木簡番号 |
0 |
本文 |
・「種蒔日○/和世種三月六日/○□/小須流女十一日蒔」/○□∥○/○/『臨○〓○臨○位○別○□〔収ヵ〕持/○納収』∥\○伊福部連豊足解○申進上御馬事\○於\○以○今日□〔甚ヵ〕○可命死依此御馬飼不堪\○右○依○豊○足○身○臥○重○病○御○馬○飼○不○堪○伏○乞\於○畏○公○不○仕○奉○成○命○〈〉○至○死○在礼畏○公不仕○奉也在□□・【{『○小支石上日七月□〔十ヵ〕\○十二日十四□十七日□〔廿ヵ〕\○小支石田苅*六[×五~]日役又\○〈〉\○〈〉』\売□前□十一\○廿\本員二百八十魚\前売年魚六十魚○□\○■\後売百六十魚此売\○五十\§家売四~十~又又□□〔廿五ヵ〕〈〉\§岡桑告万呂十魚\○□\○□\§○飯□□〔合ヵ〕七月□□□*七[×六]十\○□〔酒ヵ〕〈〉\○□\〈〉□\§〈〉\○〈〉}】 |
寸法(mm) |
縦 |
368 |
横 |
111 |
厚さ |
10 |
型式番号 |
061
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出典 |
木研42-198頁-(1)(木研28-26頁-(1)) |
文字説明 |
裏面「〓」は「にんべん」に「臨」の旁の文字、「売□前」の二文字目は、「稲」の可能性がある。「五日役」の「五」の上に「六」と書き直している。「本員二百八十魚」は合計を間違えたため「廿」と傍書して訂正している。 |
形状 |
曲物の底板を転用したもので、底板に由来する穿孔が上端に一カ所、右辺上部に二カ所、右辺下部に二カ所あり、そのうち右辺上部には木質の紐の痕跡が残る。上削り、下切断後粗い削り、左削りヵ、右削り。{}内横材。 |
樹種 |
(ヒノキ科アスナロ属) |
木取り |
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遺跡名 |
下田東遺跡〈H地区〉
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所在地 |
奈良県香芝市下田東三丁目 |
調査主体 |
香芝市教育委員会
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発掘次数 |
五位堂区画第5次
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遺構番号 |
井戸
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地区名 |
MK028026
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内容分類 |
曲物底板・文書・習書
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国郡郷里 |
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人名 |
伊福部連豊足・小支石 |
和暦 |
(7月10日)・(7月1*日)・12日・(14日)・17日・(20日)・(2*日)・6日・3月6日・11日 |
西暦 |
7;3(月), (10);(1*);12;(14);17;(20);(2*);6;11(日) |
木簡説明 |
木簡は曲物の底板を転用したもので、底板に由来する穿孔が上端に一ヵ所、右辺上部に二ヵ所、右辺下部に二ヵ所あり、そのうち右辺上部には木質の紐の痕跡が残る。上端と右辺は削りで曲物底板の原形を保つ。下端は切断後粗い削り、左辺は削りか。樹種はアスナロ属。一面(表面)は木目方向に記され、イネの種播きの日程を記し、その面を削った後、伊福部連豊足の馬の進上に関する解の下書きを記している。もう一面(裏面)は木目に直交する方向に記され、稲刈りの日程と年魚(鮎)の売却などの記録が記される。記された順は、まず表面のイネの種播きの日程(一次文書)、次いで裏面の稲刈りの日程(二次文書)と年魚の売却などの記録(三次文書)、最後に、表面の一次文書を一部削った後、伊福部連豊足の馬の進上にかかわる解(四次文書)、であろう。なお、二次文書と三次文書との同筆・別筆関係は、判断が難しい。一次文書は、「和世種」と「小須流女」という二種類のイネを、それぞれ三月六日、(三月)十一日に蒔いたことを記す。「種蒔日」との位置関係からすれば、さらにイネの品種が記されていたとみられるが、削り取られ不明。二次文書は、稲刈りの上日を記した記録。「小支石」なる人物の上日が、七月十□日、十二日、十四日、十七日、廿日以降の少なくとも五日分記され、「五日役」の「五」の上に「六」と書き直していることから、もう一日の日付が記されていたらしい。『令集解』仮寧令1給休暇条古記によると、大和国においては郡によって種蒔き・田植え・刈り取りの時期が異なることが知られ、添下・平群郡は四月に田植えを行ない七月に収穫し、葛上・葛下・内(宇智)などの郡は五月・六月に田植えを行ない八月・九月に収穫するという。遺跡は葛下郡に位置するため、古記にしたがうならば中稲・晩稲が植えられたはずである。ところが、「和世種」とみえ、刈り取りが七月であることは早稲の耕作時期を示すものの、播種の時期が三月であることは中稲の耕作時期を示している。一次文書の播種にみえるイネと刈り取りの記録が対応するものか、さらに検討の余地が残されている。三次文書は、鮎、稲、家などの売却にかかわる商業活動の帳簿である。「売□前」の二文字目は、稲の可能性がある。鮎は、前売の六〇匹と後売の一六〇匹の二度にわたり売却されているが、合計を間違えたため「廿」と傍書して訂正している。文書の奥には「飯」「酒」などの文字もみえる。売り子の食事など売却にかかわる経費、七月の稲刈りに伴う饗応の経費など、さまざまな可能性が考えられよう。四次文書は、伊福部連豊足解案である。事書に「進上スル御馬ノ事」とあるが、豊足が重病を患ったため、馬飼いの業務に堪えず、馬の進上ができないことを詫びた内容。文章を推敲したあとがみえるほか、「臨位」「別」「収納」「持」などの習書もみえる。 |