木簡庫　奈良文化財研究所:詳細

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高解像度画像がColbaseに掲載されている場合がありますので、Colbase（https://colbase.nich.go.jp/?locale=ja）でもご確認ください。

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■詳細

URL		https://mokkanko.nabunken.go.jp/ja/MK023059000001
木簡番号		0
本文		駅子委文部豊足十束代稲籾一尺
寸法(mm)	縦	316
	横	32
	厚さ	5.5
型式番号		033
出典		但馬集成4頁-(9),木研23-59頁-(1)
文字説明
形状		上切断、下切断、左削り、右削り、左右から削り尖らせる。
樹種
木取り		板目
遺跡名		柴遺跡
所在地		兵庫県朝来郡山東町柴字方谷
調査主体		兵庫県教育委員会埋蔵文化財調査事務所
発掘次数
遺構番号
地区名
内容分類		付札
国郡郷里
人名		委文部豊足
和暦
西暦
木簡説明		上下両端切断のまま、左右両辺削り、左右から削り尖らせる。板目。８世紀後半から９世紀前半まで。駅子の委文部豊足が穎稲10束の代わりに納めた稲籾に付された付札。「駅子」は、駅戸から徴発され、駅の労役を負担する代わりに徭役（庸・雑徭）を免除されていた（賦役令19 舎人史生条）。「委文部豊足」は、出挙稲10束の代わりに、稲籾１尺（石）を納めたのであろう。石は、斛と通用しており、「一千斛（ちさか）」（『日本書紀』欽明天皇12 年３月条）、「二尺（ふたさか）」（『日本書紀』大化２年（646）正月条）、「大分君恵尺（おほきだのきみゑさか）」（『日本書紀』天武天皇４年（675）６月乙未条）などにみられるように、「こく」ではなく、「せき」「さか」「しゃく」と訓まれ、尺と音通していた。紅葉山文庫本『令義解』に「一石」の石に尺と記したものもある（賦役令１調絹絁条）。委(倭)文氏は、倭文という織物にもとづく倭文部の伴造氏族。『新撰姓氏録』大和国神別・河内国神別に委文宿禰、摂津国神別の委文連がみえる。但馬国朝来郡にある２社の倭文神社との関連が推測される（式内社・朝来市生野町円山所在、村社・朝来市朝来町新井所在。以下、典拠の『延喜式』神名式下21但馬国条は神名帳と略記し、あるいは式内社として注記そのものを略す）。倭文神を祭神とする神社は、委文（倭文）部の分布とほぼ一致するといい（佐伯有清『新撰姓氏録の研究考證篇第四』吉川弘文館、1982年。16頁）、その分布は、山城国・摂津国・河内国・伊豆国・常陸国・出雲国などに確認される（佐伯有清『新撰姓氏録の研究考證篇第四』前掲。15 頁）。本木簡の「委文部豊足」もその一例であろう。駅家の財源は、令制当初は駅起稲として兵部省に把握され、駅戸に出挙してその利稲が駅家の諸経費に宛てられていた（永田英明「駅伝馬制管理行政の変質－国司受領化とのかかわりで」『古代駅伝馬制度の研究』吉川弘文館、2004年。初出1997 年）。駅起稲は、天平11年(739）６月に官稲に混合され、駅家の財源は正税から支出されることとなった（『続日本紀』同月戊寅条）。木簡の年代から、官稲混合以降の駅家の運営がうかがわれる資料として注目される。