木簡庫　奈良文化財研究所:詳細

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■詳細

URL		https://mokkanko.nabunken.go.jp/ja/FS002000000044
木簡番号		0
本文		諸□〔郷ヵ〕徴部
寸法(mm)	縦	(57)
	横	25
	厚さ	5
型式番号		061
出典		但馬集成7頁-(28),木研16-87頁-(1)
文字説明
形状		題箋部（上削り、下削り、左削り、右削り）。軸部欠｡
樹種
木取り		板目
遺跡名		袴狭遺跡(2)
所在地		兵庫県出石郡出石町袴狭字内田
調査主体		出石町教育委員会
発掘次数		4
遺構番号		遺物包含層
地区名		内田地区
内容分類		題籤･文書
国郡郷里
人名
和暦
西暦
木簡説明		題籤部四周削り、軸部全損。板目。「諸郷徴部」に関わる文書に付された題籤。本木簡は、報告書では「徴部」からの上申文書またはその写しに付されたと理解されるが、これに対して、「徴部」の歴名を貼り継いだ文書に付された題籖軸とする理解がある（吉川真司「九世紀の国郡支配と但馬国木簡」前掲）。「徴部」は郡雑任の一種で、弘仁13 年（822）閏９月20 日官符に「徴税丁」と呼ばれるものと同一とみられる（『類聚三代格』巻６公粮事）。「徴部」は、承和から貞観年間まで（834 ～ 877）の近江国大国郷売券に散見し（吉田文書ほか。『平安遺文』65・89・116・120・131 号）、これらによると、正税出挙に関与し、郷ごとに２人置かれ、短期間で交替していた。正税出挙に関わる郡雑任として、税長は各郡の正倉に院別３人が置かれ、倉の管理と財政運用、出挙貸付を担当し、徴部は正税の徴収を担当したとみられる。税長と徴部の関係は、分業関係とする説と指揮関係とする説がある（吉川真司「九世紀の国郡支配と但馬国木簡」前掲）。「諸郷」とあることから、出石郡家で郡内諸郷の「徴部」に関わる文書を取りまとめていたのであろう。袴狭遺跡からは、「秦部」と記す木簡（木簡26 参照）のほか、「秦」と記した墨書土器が多数出土している。売券が残る近江国愛智郡には依知秦氏が多く居住していることと相俟って、「徴部」が確認される地域は、秦氏が多く居住した地域と重なる。「徴部」は、秦氏内部で部民を編成するために使われ、貢納物を「ハタル」ことを職掌とする部民名に由来する可能性がある（新井重行「郡雑任の再検討－その起源を中心に」『史学雑誌』112-2、2003 年）。

■研究文献情報

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研究文献